入り口の先を進むと、そこにはかわいいものがたっくさん!
あさひなちゃんのパネルもたっくさん!
私たちみたいに衣装に着替えて楽しんでいる人たちも結構いた。
「見て見て~! 動画撮影体験だって! やってみる?」
わん太くんが指さしたのはすぐ近くだ。
大きなスクリーンがあってその上には小さなカメラがついている。
私たちが目の前に立つとそのスクリーンに姿が映った。
「なるほど。頭上のカメラで私たちを撮影しているんですね」
「な、なんか、僕の周りに変なのがいるぅ……」
ミケくんがすすっと後ずさりをする。
彼が動くたびに、スクリーンに小さなピンクのハートが現れる。
私の周りも小さな星でいっぱいだ。
「エフェクトってやつだね。写真とか動画を加工する」
楓くんが「ほら、自分が猫の顔になれるのとか、よく見るでしょ?」と付け加える。
あさひなちゃんも、投稿した動画でよくやっているやつだ!
「へ~、SNSにアップされてる動画みたいに撮るんだって。やってみよーよ!」
そういうと、わん太くんがスクリーン下のボタンをぽちっと押した。
「あっ、おい!」
天くんが声を上げる。
スクリーンの映像が変わって文字が現れた。音声が流れてその文を読み上げる。
『ここでは動画を撮ることができます。QRコードを読み取ればお持ちの携帯電話にダウンロードできますよ! まずはお手本です!』
スクリーンにひょこっとあさひなちゃんが現れる。
その途端、軽やかな音楽が流れ始めた。
『私の動きをまねてくださいね! 音楽に合わせて両手でハートを作ります!』
あさひなちゃんは片手ずつ胸の前に持ってきてきれいなハートを作った。
「げっ、なんだよこれ」
天くんが顔を引きつらせている。
紫苑くんも腕を組んで、しかめっ面だ。
「私はやりませんよ。こんな意味の分からないもの」
「まあまあまあ。そんなこと言わずに。社会経験だと思ってやろうよ」
「は……?」
楓くんに肩を押されて仕方なく私の隣に立つ(ただし、顔は無表情)。
『次は周りで手を振りますよ~。右手から、上から下に!』
あさひなちゃんの指示に、紫苑くんはやらされてる感満載でひらひらと手を振った。
「あははっ、しおしお、ぎこちないよ~。おっかしい~」


