首をかしげていると、着替えスペースの方からうめき声が聞こえてきた。
「……なんだよ。これ」
うつむきながら出てきたのは天くんだ。
天くんの服は……なんだかキラキラしている。
金色のスパンコールが真っ白なジャケットに並んでいて、肩には腰くらいまでの長さのマント。
両手には真っ白な手袋がはめられている。
これってなんだか……、
「アイドルみたいだね。天、かっこいいよ」
楓くんが言うと、天くんは「うるせっ」と叫んだ。
いつもツンツンしている天くんだけど、王子様みたいなアイドル風の服を着ている。
スタッフの方に直してもらったみたいで、髪の毛もいつもより落ち着いていた。
「なんで、俺だけこんなキラキラしてんだよっ。おかしいだろ!」
「みんなで選んだ甲斐があったね~!」
わん太くんはおおっと手をパチパチ打っている。
楓くんが天くんに歩み寄って肩にポンッと手を置いた。
「まあまあ。今日は遊ぶ日だから」
「はあ⁉」
さっきのお姉さんが「出るときにここで返却してくださいね~」と手を振ってくれる。
ぶすっとした天くんを連れて私たちは歩き出した。


