「えっ、私⁉」
突然の指摘に、私は思わず声を上げる。
紫苑くんは目を細めて不満そうな顔だ。
「そうです。君の家に住むようになってから私は変わってしまったんですから。責任取ってくださいよ」
せ、責任⁉ そんなのどうやって⁉
私なにもした覚えないんですけど!
慌てる私を見て、紫苑くんはふっと息を漏らした。
「ははっ。面白いですね、さくらさん。
君の顔とブレインは私のには勝てませんけど。私、気に入りました」
別に面白いことしたわけじゃないんだけどな。
紫苑くんはこらえきれないっていう風に、あははっと笑う。
その横顔がいつになく晴れあがっているように見えて。
私も思わず笑っちゃった。
なんだかよくわからないけれど、紫苑くんが笑顔ならそれでいいや。
私が少しでもそれに関われたなら。
紫苑くんが楽しいの、私だってうれしいよ。
しばらく二人で笑ってから、紫苑くんが急に真面目な顔をした。
「……君のこと、仲間だと思っていいんですよね?」
いつも自信ありげな瞳が心配そうに揺れ動いている。
私は思いっきりの笑顔でうなずいた。
「もちろん!」
四月になって会ったばかりだけど、私は自然と男子たちを信頼してた。
紫苑くんだって例外じゃない。
同じ家に住む、大切な友達であり、仲間だ。
今度は紫苑くんも安心したように小さく微笑んだ。


