私はすっとんきょうな声を出しちゃった。
彼の目はどこにも焦点が合わず、どこか遠いところを見つめている。
あんな人って、楓くんたちのこと?
突然問われて私は目を瞬いた。
な、なんでって。そんなこと言われても、理由なんかある?
私は何も答えられずに彼の横顔を見つめる。
紫苑くんは続けて小さく口を開いた。
「だってうるさいじゃないですか。地域のサッカークラブに入ってた時も今のまんまだったんですよ。楓はともかく、みんなバラバラに動いて。正直、一緒にいるの、めんどくさいなって思ってました」
紫苑くんはふうと息を吐く。
みんなのこと、そんな風に思っているなんて知らなかったな。
確かに、紫苑くんはあきれた顔をしていることが多かったけれど。
言わなかっただけで、彼なりに思っていることがあったのかも。
だけど文句を言いながらも、彼の声はすごく優しく聞こえる。
紫苑くんは「でも」と言葉を強くした。
「最近、楽しいんですよ。別にあの人たちは何も変わってないのに。
厄介だったはずなのに、こんな毎日も悪くないって思えてきて。どうやら私はおかしくなってしまったようです」
と、紫苑くんが振り向いて私の目を一直線に見つめた。
「こうなったのは、君のせいですよ」


