楓くんも眉を下げて困った顔だ。
うっそお! そんなことある⁉
スポーツ推薦で入学した男子たちにとって、サッカーの試合は絶対に欠かせないもの。
だけど、理事長からの依頼に応えなきゃ退学になっちゃうし。
そもそも、千人集める方法なんてわからないのに、いっきに二つもなんて無理だよ!
天くんはため息をついた後、すっと立ち上がった。
「とりあえず、俺は練習してくる。ずっと話してたって、らちが明かねえだろ」
「えっ、まだ練習するの⁉」
目を見開く私に、ミケくんもおずおずと手をあげる。
「僕もしたいかもぉ。さっきの練習、上手くいかなかったから」
ミケくんまで!
どうやら練習したりないみたいだ。
確かに、これからのレギュラーがかかってるなら、いっぱい練習したいよね。
でもただでさえも部活が忙しいのに、夜も練習してたら依頼について考える暇がなくなっちゃう。
私はう~んと考え込んだ。
こ、こうなったら……。
私はバンッとテーブルをたたいて立ち上がった。
「わ、わかった! 私がやるよ! オープンスクールの件は私に任せて!」
楓くんが、えっと目を見開く。
「さ、さくらちゃん?」
「みんな練習で忙しいんでしょ? だったら私が理事長の依頼を解決して、みんなはサッカーしてればいい。これで忙しさはフェア。完璧でしょ?」
えっへんと胸を張ってみせる。
我ながら大雑把な作戦だけど、悪くないんじゃないだろうか。
男子たちは余計な心配せずにいつでもサッカーの練習ができるし、私はオープンスク―ルについてじっくり考えてればいいし。
お互い頑張ればきっとうまくいく。


