「さて、オープンスクールのことだけど。みんな、何か意見はある?」

「……」

 楓くんの言葉に、丸テーブルを囲うみんなは無言だ。

 ……だよね。

 楓くんは困ったようにはあっとため息をつく。

「どうしようかなあ。あと三週間もないのに」

 オープンスクールは四月の最終週の土曜日。

 考える時間はあまりない。

 それまでに千人って、やっぱり無謀だよ~!

 天くんはしびれを切らして、ちっと舌打ちをした。

「大体さ、俺たち試合あんだから、練習どうすんだよ。両方って、そりゃ無理だろ」

「えっ、試合?」

 それは初耳だ。

 紫苑くんは肩をすくめる。

「今日言われたんですよ。月末に部内で練習試合やるって。先輩方はそれで次のレギュラーが決まるって言ってましたけど、ほんとかどうか」

 そっか。サッカーって一チーム十一人だから、試合に出れる人は限られてるんだ。

 サッカー部って野茨の部活でも一二を争う人気な部活って聞いたことがある。

 部員も結構多いんじゃないのかな。

 だとしたら、その練習試合は大事だ。

「ちなみに、月末って?」

「日曜日だよ~。さくっち、見に来てくれるよねっ?」

 わん太くんが身を乗り出して目をキラキラさせている。

 隣ではすっかり仲良しのトイも、前足をテーブルの上に出してしっぽをふりふり。

 ……うちの犬二匹は置いといて。

「日曜って、もしかしてオープンスクールの翌日? それってまずいんじゃ」

 紫苑くんはゆっくりとうなずいた。

「いかにも」

「いやあ、参ったよね。運命が決まる日が、立て続けにあるなんて」