と意気込んだはいいものの。

 いったいどうしたらいいのー!

 何も進展がないまま、早くも四月初めの一週間が終わろうとしていた。

 男子たちはサッカー部で頑張ってるみたいだ。

 放課後は学校のサッカー場で練習、家に帰っても庭で自主練。

 なんだか毎日忙しそう。

 私はというと部活に入ってるわけじゃないし、学校の宿題をやるくらい。

 だからオープンスクールの件について、いっぱい考えられるんだけど……。

「何も思いつかなーい!」

 私は机の上にぱたんとうつぶせになった。

 ちょうど自主練から帰ってきたところの男子たちは台所でコップに麦茶をそそいでる。

 冷蔵庫に何があるかも覚えちゃって、すっかり慣れたよなあ。

「はあ~、つっかれた~」

 わん太くんがお茶をなみなみ入れたコップを持ちながらこっちに歩いて来る。

 と、カーペットの端に足が引っかかった。

「あ」

 体が傾くと同時に、茶色の麦茶がきれいな放物線を描いて前方に飛んでいく。

 飛んでいく先はテレビを見ていた紫苑くんだ!

 
ばしゃあ


「……あんのっ、わんころ!」

 紫苑くんはお茶を滴らせながら、ぐわっと顔を上げた。

「ひ、ひいぃ! しおしお、落ち着いて~!」

「待ちなさい!」

 捕まえようとする紫苑くんに、わん太くんは部屋中を逃げ惑う。

 天くんは目を細めて白けた顔で、ずずっとお茶をすすった。

「……何やってんだ、あいつら」

 あはははは……。

「ミケ、片付けよっか」

「はぁい」

 楓くんたちは慣れた様子で雑巾を手に取った。

 ささっと拭き取れば床も元通り!

 おお~。お見事!

 私はパチパチと拍手する。

「おとなしくしてもらいましょうかね」

 ちょうどそのころ、首根っこをつかまれたわん太くんが戻ってきた。

 どうやら、鬼ごっこは紫苑くんの勝ちで終わったらしい。

 わん太くんは蛇ににらまれた蛙みたいになって、小さく縮こまった。

「ご、ごめんなさ~い」

 わん太くんの悲痛な声が家中に響いた。