うちの訳アリ男子たちがすみません!



 ……喜んじゃうんだ。

 楓くんがついにブハハッと吹き出す。

「楓っ。こいつ、なんとかしろよ!」

「ハハハハハ」

「やってられませんね」

 紫苑くんは肩をすくめてお手上げだ。

 みんながこんなに仲がいい(?)のは小学校からの付き合いだから、らしい。

 楓くんによると、地域のサッカークラブがあって小学生の時はそこに入っていたみたい。

 小六になったばかりの頃、そのクラブに野茨の関係者が目をつけて推薦の話を持ちかけてきた。

 それでみんなは見事入学することができたって、朝ごはんの時に言っていた。

 みんなどんなスポーツで野茨に入ったんだろうと思っていたけど、なるほど、サッカーだったのか。

 ちなみにこれも聞いたんだけど、私の名前を知っていたのは、お母さんから聞いていたからだって。

 お母さんってば、私にも事前に言ってくれればいいのに!

 男子たちが言い争ってるうちに、だいぶ歩いていたようだ。

 楓くんの肩越しに前を見ると、ずらーっと桜の木が並ぶ光景が広がっていた。

「うわあ……」

 野茨学園の名所・桜ロードだ!

 野茨に合格し正門をくぐったものだけが見ることができるという、伝説の道!

 あさひなちゃんがいつかのバラエティー番組で紹介してたっけ。

 入学した時すごくきれいで、はしゃいじゃったって。

 男子たちなんて忘れて、体がうずうずしてくる。

 ああ、写真撮りたい!

 でも今スマホは持ってないし、誰かカメラ持ってないかな?

 あ、でも撮ったら怒られちゃうかな。

 でもでもっ、あさひなちゃんファンとしてもこれから野茨に通う身としても、撮るしかない!

 カメラと場所を探してきょろきょろしていると、


 シュパッ


 正体不明の黒い物体が横から飛んできた⁉