一日の授業が終わって放課後の教室。

 私たちは机を寄せ合って他愛もない話をしていた。

 だって、やっと特別対応係の仕事が終わったんだ。しかも、全員退学回避! こんなに嬉しいことないよ!

 それに、なんとなく、家に帰りたくなくって。

 だって、帰ってしまったら、それは男子たちとのお別れってことになるから。

 みんなもそれが分かっているのか、いつもは文句を言ったり苦言を漏らしたりする天くんや紫苑くんも、何も言わずにいてくれている。

「やっぱり、あさひなちゃんの効果は抜群だったね。さすが天」

 楓くんが天くんに話しかけて、私はあっと思いだした。

「そういえばそうだよ! なんで天くんは教えてくれなかったの! あさひなちゃんがお姉ちゃんだって」

 天くんはうっと言葉に詰まり、顔をしかめた。

「俺に文句言うなよ。試合にノコノコ来ると思わないし! 大体口外するなって言ってたのは姉ちゃんなのに」

「私としてはあさひなさんのことを忘れていたのが驚きですけどね」

 紫苑くんがじいっと見つめる先はわん太くんとミケくんだ。

 二人はてへっと舌を出す。

「あれだけさくらさんが好きだと言って、一緒にテレビを見ていたのに……」

「でももう、このメンバー全員でそんなふうに過ごすことも、できないんだよな」

 天くんのつぶやきにみんな無言になっちゃった。