「ちょっと失礼します」

 綾都たちの担当スタッフ、佐野はマナーモードにしていたスマホが鳴ったので、微笑みながら立ち上がる。

 綾都と慶紀は真剣に招待状を選んでいる。

「この黒と金の素敵ですね」

「結婚式って感じじゃなくないか?
 なにかのパーティのVIPへの招待状みたいだ」

「秘密の扉が開きそうですよね」
「開くのは教会と披露宴会場の扉だけだ」

 そんな二人の会話を聞きながら、窓際で話す。

「藤宮様、お久しぶりです。
 来てらっしゃいますよ、綾都さん。

 大変仲の良いお二人で、はい。
 すごく楽しげに準備してらっしゃいます」

 女性スタッフが来たので頷くと、彼女は綾都たちにドレスを見せに連れていった。

 藤宮がまだしゃべっていたので、スマホを手にしたまま、佐野も後をついて行く。