寝不足でお見合いしたら、結婚が決まりました

「そうですねー。
 悪い人じゃなさそうだけど、お姑さんとしては、ちょっとめんどくさそうだなーという感じのお母様がいらっしゃらない方ですかね?」

「なんなの、この人はっ?
 いいから、うちの息子を狙いなさいよっ」

 何故だろう。
 意外にしゃべりやすいな、この人、と思ったとき、沈黙していた慶紀がいきなり、口を開いた。

「――今度の日曜。
 三人で、ウエディングドレスでも見に行こう」

 はあ!?
と言ったのは、綾都ではなく、愛だった。

「いやっ、信じられるっ? この息子っ。
 今っ?
 このタイミングでっ?

 聞いてよ――

 あら、あなたの名前、なに?」

「藤宮綾都です」

「藤宮さんのお孫さんと同じ名前ね」

「……よくある名前じゃないですかね?」

 いや、ないだろう、という顔で慶紀は見ていたが、なにも言わなかった。