寝不足でお見合いしたら、結婚が決まりました

「いきなりで悪いとは思っている。
 だが、激しい攻防戦の末、そのようなことに――」

 どのようなことにっ?

 そして、何故、今、この瞬間に!?

 お化粧も直してないから、私のお手洗い、かなり早かったですよっ?

 この家怖い!
 絶対、行きたくない!
と思う綾都の前で、慶紀は溜息をついて言う。

「すまない。
 ほんとうに、そういう人なんだ……」

 どういう人なんですかっ?
 絶対に行きたくないっ!
と綾都は心の中で繰り返す。

「あの、行きたくないんですけど」
とこわごわ綾都が言うと、

「いや、行かなくていい」
と慶紀は言った。