ホテルのエレベーターは外が見えるエレベーターだった。
普段見ない場所から夜景が見られる。
普通の街なんだけど、こうして見ると、綺麗だなと綾都は思う。
「素敵ですね」
そう慶紀に言ったが。
内心、
……胸がないまま、その素敵な場所に来てしまった、
と思っていた。
その視線に気づいたように、慶紀が力強く言ってくる。
「大丈夫だ。
胸などなくとも、お前は綺麗だ」
「あ、……ありがとうございます(?)」
照れるような、いや、一言余計です、と思うような。
エレベーター、早く開かないかな。
慶紀に見つめられながら、綾都は落ち着かない気持ちになる。



