ブライダル情報誌はかさばるので、旅のガイドブックだけ買ってもらった。
コンビニを出たあと、何処で呑むかと慶紀に訊かれる。
「そうですねえ」
と言いながら、綾都は、
でも、ふだん、同級生と行くような安い居酒屋にこの人誘うのもな~と思っていた。
すると、慶紀は、
「ここに来る前に見たホテルのバーにするか」
と言う。
「あ~」
と変に感心したように頷く綾都に、
「どうした?」
と慶紀が訊いてきた。
「そういや、家の近くにもありますよね、ホテルのバーって。
そういうところって、旅先か、会社の近くのしか行かないので、思いつきませんでした」
新鮮な発見をしました、と綾都は言う。
ずっとこの街に暮らしていたのに。
この人といると、今までと違う視点で物が見られるなあ、と思っていた。



