寝不足でお見合いしたら、結婚が決まりました

「これからはお前のものは俺のものだ。
 どっちが買ってもいいだろう」

 ……ジャイ◯ン?

「俺のものもお前のものだ。
 この旅行ガイドも俺と一緒に使うかもしれないだろ」

「何故ですか?」

 あなたと旅行に行く予定はありませんが、と怯えながら思ったのだが。

「夫婦は一緒に旅行に行くだろうが」

 そうなんですけど。
 あなたと一緒に旅行に行く私が想像つかないんですけどっ。

 そもそも、もうこの結婚は決定なのですかっ?
と思ったとき、付録つきのブライダル情報誌が目に入った。

「それもいるのか」
「いりませんっ」

「買ってやろう」

 慶紀は、ふたたび、レジに行こうとする。

「あなたは、孫に久しぶりにあったおじいちゃんですかっ。
 なんでも私に買い与えないでくださいっ」
と綾都は慌てて追いかけた。