寝不足でお見合いしたら、結婚が決まりました

「いや、なんかコンパクトなものをと思って。

 あ、そうだ。
 ウコンとかどうですか?」

「どれだけ呑むつもりなんだって感じだな」

 確かに。
 そもそも、侑矢みたいな無茶呑みとかしそうにないしな、この人、
と綾都は思う。

「あ、私、これ買いますよ」

 小さな旅のガイドブックがあった。
 温泉の特集とかしてあって、カバンにも入りそうだ。

「じゃあ、俺が買ってやろう」
と慶紀は、すぐさま、レジに持っていこうとする。

「あっ、いいですよ」
「いや、いい」

「でも――」

 そこで、慶紀が振り向いて言った。