寝不足でお見合いしたら、結婚が決まりました

 


 綾都はそんな長い回想を叔母たちに語っていた。

「もう~、そんなこんなで、びっくりしちゃって、呑み会にも行かずに帰ってきちゃったんだからっ」

「あんた、自分の結婚より呑み会の方が大事なの?」

 下を見たまま、そう答えたのは、花実だったが。

 返事があっただけ、まだマシな方だった。

 みんなパンフレットを見ていて、なにも聞いてはいないようだった。

 しかも、高校から帰ってきたばかりの妹の(ゆき)もいつの間にやら混ざっている。

「おねーちゃん、このスタッフの人、イケメン」
とあの白亜の結婚式場のパンフレットを見せてくる。

「あら、ほんと。
 この人指名できるのかしら」
と花実が身を乗り出した。

 いや、ホストクラブか。

「じゃあ、ここにしましょう」
と母、叔母、妹の三人で決めてしまう。

 いや、待て。
 私の意思は?