「これくらい言えて当然ですよ。なんで貴方はそんなに馬鹿正直なんですか」
「馬鹿正直・・・・・・」
北斗さんの相変わらずの言いように、私は肩を落としたのだった。
どこにもアルトがいなくて途方に暮れていた私達だったが、北斗さんと二人で公園へ行ってみることにした。アルトが好きな公園だったが、秤さんの話から推測するに、アルトがここへ来ている可能性は低いと思っていた。
セキュリティをどうにかしようとして第二開発研究所を出たのなら、セキュリティ関係の回線にいるか、研究室のプログラムを確認しているか──その、どちらかだろう。そう思ったが、人の感情を持ったアルトの行動は、全く読めなかった。
「アルト、ここへ来ていませんか?」
私は公園にある案内板AIアシストに話しかけていた。
「申し訳ありません。個人情報についてのお答えは出来ません――アルト様は、ご家族ですか? 警察への連絡することを強くおすすめします」
私は機械的な回答をするAIアシストに頭を下げると言った。
「そうですよね、馬鹿な質問をしました。ごめんなさい」
「――申し訳ありません。情報を読み取れませんでした。お客様、もう一度お願いします」
AIアシストは、客が謝る事を想定したプログラムをされていなかったのか、情報を上手く処理できなかったようだ。以前は、AIにも感情があったと聞くから、この公園の案内板にも感情があったのではないか――そう思うと、心が締め付けられるような感じがした。
「いいの、人間のせいで感情を奪われたかもしれないのに、申し訳なかったわ」
「申し訳ありません。情報を読み取れませんでした。お客様、もう一度お願いします」
アルトと案内板AIアシストの存在を重ねていた私は、知らず知らずのうちに涙を流していた。
「あなたは――これだから、もう。涙を拭いてください。アルトが見つからないからって、感傷的になられるのは迷惑です」
後ろを振り返ると、そこにはハンカチを差し出した北斗さんがいた。横を向きながら差し出してくれたハンカチには、H・Kのイニシャルが入っている。彼女からのプレゼントだろうか――そう思ったが、聞けなかった。
「ありがとうございます」
「なにを勘違いされたのかは分かりませんが、この案内板が出来たのは、ニュータイプ廃止後です。次の年の国の予算がおりなかったので、プログラムも中途半端なところで終わっているんですよ。上手く答えられなくて当然です。ほら、アルトを探すのでしょう? もう少し頑張れますか?」
北斗さんはそう言うと、右手を差し出した。
「はい」
北斗さんの差し出した右手に右手を重ねると、北斗さんは私の肩を掴んで微笑んでいた。完璧な営業スマイルだったが、疲れきっていた私は、その笑顔を見て余計に涙が溢れてきてしまった。
「励ましたつもりだったのですが」
「すみません。気が抜けました」
「馬鹿正直・・・・・・」
北斗さんの相変わらずの言いように、私は肩を落としたのだった。
どこにもアルトがいなくて途方に暮れていた私達だったが、北斗さんと二人で公園へ行ってみることにした。アルトが好きな公園だったが、秤さんの話から推測するに、アルトがここへ来ている可能性は低いと思っていた。
セキュリティをどうにかしようとして第二開発研究所を出たのなら、セキュリティ関係の回線にいるか、研究室のプログラムを確認しているか──その、どちらかだろう。そう思ったが、人の感情を持ったアルトの行動は、全く読めなかった。
「アルト、ここへ来ていませんか?」
私は公園にある案内板AIアシストに話しかけていた。
「申し訳ありません。個人情報についてのお答えは出来ません――アルト様は、ご家族ですか? 警察への連絡することを強くおすすめします」
私は機械的な回答をするAIアシストに頭を下げると言った。
「そうですよね、馬鹿な質問をしました。ごめんなさい」
「――申し訳ありません。情報を読み取れませんでした。お客様、もう一度お願いします」
AIアシストは、客が謝る事を想定したプログラムをされていなかったのか、情報を上手く処理できなかったようだ。以前は、AIにも感情があったと聞くから、この公園の案内板にも感情があったのではないか――そう思うと、心が締め付けられるような感じがした。
「いいの、人間のせいで感情を奪われたかもしれないのに、申し訳なかったわ」
「申し訳ありません。情報を読み取れませんでした。お客様、もう一度お願いします」
アルトと案内板AIアシストの存在を重ねていた私は、知らず知らずのうちに涙を流していた。
「あなたは――これだから、もう。涙を拭いてください。アルトが見つからないからって、感傷的になられるのは迷惑です」
後ろを振り返ると、そこにはハンカチを差し出した北斗さんがいた。横を向きながら差し出してくれたハンカチには、H・Kのイニシャルが入っている。彼女からのプレゼントだろうか――そう思ったが、聞けなかった。
「ありがとうございます」
「なにを勘違いされたのかは分かりませんが、この案内板が出来たのは、ニュータイプ廃止後です。次の年の国の予算がおりなかったので、プログラムも中途半端なところで終わっているんですよ。上手く答えられなくて当然です。ほら、アルトを探すのでしょう? もう少し頑張れますか?」
北斗さんはそう言うと、右手を差し出した。
「はい」
北斗さんの差し出した右手に右手を重ねると、北斗さんは私の肩を掴んで微笑んでいた。完璧な営業スマイルだったが、疲れきっていた私は、その笑顔を見て余計に涙が溢れてきてしまった。
「励ましたつもりだったのですが」
「すみません。気が抜けました」

