相手は【群青】の元オーナーの息子、宗方悠真。
父親の後を継いで代議士になるため、外務省を退職予定なのだという。
父は、彼の父親の後援会会長でもあった。
「綾華」
気がかりそうな咲良だったが、私はきっぱりと宣言した。
「結婚を受けるわ」
私は決めていた。
父が使っている凄腕の興信所によれば、悠真は女性と同居中らしい。
クリーンなはずの代議士が女性と住んでいるなんて、きっと本命中の大本命だろう。
で、あれば悠真は私の『商談』を受けると、私には確信があった。
「契約結婚を提案するつもりよ」
互いには不干渉で、恋人がいることだけバレないようする、という契約。
私と悠真が結婚して数ヶ月後のある日、朗報が舞い込んだ。
「咲良!」
美術品贋作事件の捜査線上に【群青】が浮かびあがったというのだ。
捜査の指揮を執るのは、警視庁捜査二課の賀陽鷹士警視正。
悠真の親友で、宗方家からの信頼は厚い。
悠真の父は実の息子より、鷹士を気に入ってるらしく。
『愚息ではなく、鷹士を地盤の後継に据えたい』と、後援会会長である父に漏らしたことがある。
しかし光あれば闇がある。
賀陽鷹士警視正を警察から辞めさせたい人物から情報はもたらされた。
「おまけに彼の配偶者は、藤崎日菜。悠真の愛人よ!」
「おっけ」
咲良は不敵に笑う。
「潜伏先は準備出来ている。そこから、賀陽警視正か公安に交渉しよう」
私達の手元には二十年に及ぶ父の贋作についての資料があった。
心が踊った。
私達は、父にようやく勝てる。
fin.
父親の後を継いで代議士になるため、外務省を退職予定なのだという。
父は、彼の父親の後援会会長でもあった。
「綾華」
気がかりそうな咲良だったが、私はきっぱりと宣言した。
「結婚を受けるわ」
私は決めていた。
父が使っている凄腕の興信所によれば、悠真は女性と同居中らしい。
クリーンなはずの代議士が女性と住んでいるなんて、きっと本命中の大本命だろう。
で、あれば悠真は私の『商談』を受けると、私には確信があった。
「契約結婚を提案するつもりよ」
互いには不干渉で、恋人がいることだけバレないようする、という契約。
私と悠真が結婚して数ヶ月後のある日、朗報が舞い込んだ。
「咲良!」
美術品贋作事件の捜査線上に【群青】が浮かびあがったというのだ。
捜査の指揮を執るのは、警視庁捜査二課の賀陽鷹士警視正。
悠真の親友で、宗方家からの信頼は厚い。
悠真の父は実の息子より、鷹士を気に入ってるらしく。
『愚息ではなく、鷹士を地盤の後継に据えたい』と、後援会会長である父に漏らしたことがある。
しかし光あれば闇がある。
賀陽鷹士警視正を警察から辞めさせたい人物から情報はもたらされた。
「おまけに彼の配偶者は、藤崎日菜。悠真の愛人よ!」
「おっけ」
咲良は不敵に笑う。
「潜伏先は準備出来ている。そこから、賀陽警視正か公安に交渉しよう」
私達の手元には二十年に及ぶ父の贋作についての資料があった。
心が踊った。
私達は、父にようやく勝てる。
fin.



