君を大人の果実とよぶ。




「本気で好きな相手に、
 そんなこと言われて…傷つくなぁ」


後ろから聞こえる声からは、
笑顔なのに、笑っていない様子が想像できた。

それでも京子は虚しさを込めて続けた。


「傷ついても、すぐ癒してくれる人が
 たくさんいるじゃないですか。私と違って」

「きょんちゃん」

「いいですよね、モテる人は。
 本気で好き、なんていえば、
 すぐに誰かしら引っかかるし」

「きょんちゃ…」

「本当、自分がイヤになります。
 なんで好きになっちゃったんだろって。
 まんまと騙されて、バカみた…」

「きょんちゃん!」

「…ッ!」


突然腕を引かれ、京子は牧に向き直った。

いつの間にか、涙でぐちゃぐちゃになっていた。

惨めで情けない姿が明かりに照らされる。



「自分だけ泣いてると思うなよ」