翌日、学校に行った。

顔を見るのが辛くて、私は下を向きながら、鞄に入っている教科書を出そうとした。

「なぁ、お前さ、なんかあったろ」

「え?」

顔を上げると、仲のいい男友達の奏斗がいた。

「いや、別に。そんなんないし」

そんなことを言いながらも、内心は焦っていた。

なんで分かったんだろう。そんな顔に出てたかな。

「嘘つくなよ、失恋したんだろ」

「は、え、なんで...」

どうやら、私の親友から話されていたらしい。

わざわざ奏斗に伝えなくても良かったのに。

「まぁ、なんつーか、失恋しても、お前のことを幸せにしてくれる奴は案外近くにいるわけで」

「お前のことを幸せにしたいって思う奴を選べばいいんじゃねーの」

奏斗はそれだけ言って、すっと自分の席に帰っていった。