ぼくはもともとマッサージ師になろうなんて思っても考えてもいなかった。
それどころか（あんな仕事はしたくない。）と思っていた。
　特に老人ホームなんか働く場所じゃないとも思っていた。
だから研修が入っても体調不良を理由に休んだんだ。
　ところが気付いたら老健で働いていた。　びっくりした。
９０年代、老人ホームやデーサービスはマッサージ師の花の職業だった。
８０年代、ヘルスキーパーが持て囃されたようにね。
　ところが介護保険が始まると老健や特養での仕事は余程のことが無い限り無くなってしまった。
ぼくらの仕事は介護報酬の対象にはならなかったから。
　それでも一部の議員は「ニーズは有るんだから大丈夫だよ。」と笑っていたけれどね。
その後、増えたのが訪問マッサージ。
　でもこれがまた闇を呼ぶ仕事でね、、、。　ぼくらにとってはいいのか悪いのか分からない。
年寄りにとっては金を掛けずに週に何度もやってもらえるからいいのだろうけれど、こちらからすればその分単価がめっちゃに低く抑えられていてやってられない気分である。
　会社はそれでぼろ儲け。　マッサージ師は超が何個付くか分からないほどの低空飛行を余儀なくされているんだから。
肉体労働なんだから考えてほしいよ。
　汗だくになっても社長さんは何とも思って無いから暑さ対策なんてまずやらない。
「やらないお前が悪いんだろう。」って突っぱねてくる。　溜まったもんじゃない。
　ことに昼間が４０℃に迫ってきたこの頃では命の危険すら感じながらの仕事になる。
実際にそれでぶっ倒れた人が居るからね。
それでも社長さんは自分が涼しいもんだから何とも思わない。　こんな業界は早く潰したほうがいい。
誰の役にも立ってない。

　９０年代に往療費を架空請求して突っ込まれて自殺した社長さんが居る。
今だって不正請求は横行している。　表に出ないだけでね。
　たとえば施設での仕事は一人終わるたびに何度も出入りを繰り返す。
これでガソリン代は大儲けできる。　施術費は元が少ないから儲けにはならない。
しかも一人一回の制限付きだから重ねて請求することは無理。
だから施術者は大損するわけね。　月４０人やっても２万円にしかならない。
せめて一人１０００円は欲しいもんだね。　５００円じゃあ煙草も買えないよ。
　でもさ、中には月の施術回数をごまかして請求している事業者も居るんだよ。　冷や汗物だね。
５か月くらい働いた事業者が有る。　どうも雰囲気の暗い事業者だった。
　そこで施術記録を書くように言われたんだよ。　だからせっせと書いた。
ところがね、一か月くらいしたら何も言わなくなった。　なぜだろう？
　不思議だったねえ。　でも訳が分からない。
使ってるウィンドウズのバージョンが違うっていうのは聞いてたんだ。　ぼくが１０で事務員は８だった。
　でもそれだけじゃない。　何か有る。
　おそらくはぼくの施術記録を使うと回数をごまかせないからじゃないかなあ？
そんな気がするよ。　汚い話だよね。