極道家の花の姫は最強女総長様



刹那Side



「今日から宜しくお願いします……!」

彼岸が其奴に挨拶をした。
___羨ましい、俺だって彼岸の隣の席が良かった。
俺だって至近距離で彼岸を眺めていたい。
だから、俺は其奴へ彼岸に気付かれない程度に殺気を送った。

_____其奴の顔が青ざめる。

ハッ、情けねぇな。それでも御言さんの後継かよ、と俺は心の中で其奴を馬鹿にする。

天寺 橙犂(あまじ とうり)、だったか?
6代目”蛍麗”総長……昔は全国レベルだったのに、情けねぇなぁ、本気(マジ)で。
あんなんじゃ御言さんに合わせる顔ねぇだろww

___ッチ。

殺気を感じた。俺の良く知る奴からの殺気だ。
一条志月。俺達”Lycoris”の幹部メンバーで、”自称”彼岸を1番仲が良い奴。
……まぁ、彼岸と1番仲が良いのは間違いなく俺だけどな!

……すると一条以外からも殺気が飛んでくる。
淺華 朱架(あさばな しゅか)淺華 茜(あさばな あかね)、一条と同じ、”Lycoris”の幹部。
いっつも彼岸の周りをウロチョロする鬱陶しい双子だ。
一見すれば見分けがつくのなんて彼岸だけだろ、と思うほど容姿が似ている淺華兄弟。
そんな奴らでも俺達が見分けられてるのは彼岸が送ったピアスとヘアピンのお陰だ。

兄の淺華朱架には赤のヘアピンと十字架のピアスを。
弟の淺華茜には黒のヘアピンとバツマークのピアスを。

それぞれ右と左に着けているのでパッと見ただけで判別が付く。
……まぁややこしいのは変わらないが。

んで、俺が殺気を向けられている理由はきっと……

___彼岸の転入の件を伝えていなかったからだろう。

彼岸には彼奴等に言っておけって言われたけど、俺は言わなかった。
だって、どんな事でも彼岸の事は俺だけが知っていたいだろ?

___まぁ、あくまで彼岸の事に関してだけ仲が険悪になるだけであって普段仲が悪いわけじゃない。
……一条は俺のことが気に食わないみたいだけどな。


そんなこんなで俺は仲間から殺気を浴びせられながら一時校目を過ごしたのだった。