頭の中であの時のことがフラッシュバックする。
友達の怖がったような目、声。私のすくんだ足。
あれは全部私のせいだ。私にこんなチカラがあるから。
あんなこと、もう誰にもあってほしくない。
だから私は、ずっと一人で……。
「ずっと探してたんだ。……なんだってやってやる」
不意に耳に入った言葉に思わず顔を上げた。
視界に入った蓮くんの目がやる気に満ちて……なんだか輝いて見える。
蓮くんはさっきまでとは打って変わって、教室にいた時みたいに優しく笑って私と目を合わせた。
「やってみない? 僕と一緒に。自信がなくても後からいくらでもつけられるよ。やめたくなったらいつでもやめていいし。ねえ、い
いよね?」
蓮くんがお地蔵さんに首を向けると、お地蔵さんは「まあ、そうじゃな」とうなずく。
「別に強制するものではない」
蓮くんが私を励ましてくれている。
それならって心が動く感じがした。
自信はないけど、蓮くんと一緒なら、応援してくれるなら頑張ってみたい、かも。
彼は私の顔を見るなり嬉しそうに「決まりだね」ってうなずいた。
そのにこっとした顔は学校の時みたいにさわやかだ。
さっき人が変わったように見えたの、気のせいだったのかな……?
「ねえ、気になってたんだけどさ。お地蔵さんって名前、ないの? これからどう呼んだらいい?」
そんな私はよそに蓮くんはお地蔵さんと会話を始めている。
私を振り返って「ね、鈴も気にならない?」と聞いてくる。
その顔に私はますます首をかしげた。
お地蔵さんはけげんそうに眉を寄せる。


