私はぽかんと口を開けてその場に突っ立った。
い、いいい今、このお地蔵さんが!
お地蔵さんはぐぐぐっと額にしわを寄せる。
「何を驚いておる。お主もうわさとやらを聞いてここに来たのであろう? ちとは不思議なことが起こると予想はしなかったか」
な、な……!
私、今お地蔵さんとしゃべってる⁉
頭がぐるぐるして今にも卒倒しそうな勢いだ。
「あ、あなたは、いったい……」
「わしは地蔵じゃ。この街を昔から見守っておる」
「お、お地蔵さんなのはわかってますけど!」
私、普通に会話しちゃってるよ!
願いをかなえてくれるっていううわさだって半信半疑だったのに、お地蔵さんがしゃべるなんて聞いてない!
「……今宮鈴。またあの小学校か。最近は多いな」
お地蔵さんは目を白黒させている私を放って、ぽつりとつぶやく。
「な、なんで私の名前知って……」
「わしはこの街を統べる地蔵じゃぞ? すべてを知っておる」
そんなもんなんですか……。
私はぱちくりと目を瞬いた。
「もちろん、お主が秘めておる悩み、もな」


