「はー、アンクの隣とか疲れるわ。蓮と前後なだけ嬉しいわね」
今度は虎井くんの横にサイドの髪を三つ編みにした女の子が座った。
心也くんが「え、俺は⁉」と小さく叫ぶ。
女の子は心也くんを無視し、真後ろを向いて蓮くんに向き直る。
「今年も同じクラス、同じ班になれたわね。ほんと、私たちって縁が強い!」
「あのー……俺もずっと麻里と同じなんですけど」
心也くんはおずおずと小さく手を上げる。
麻里と呼ばれた女の子は心也くんを軽くにらんだ。
「心也は別にいいのよ。どうせ腐れ縁なんだから」
「ひどいよぉ……」
小さく泣く彼を無視して、女の子は私に目を向けた。
「今宮鈴ちゃん、だよね。私、久世麻里。麻里って呼んで!」
麻里ちゃんはそう言いながら全世界をとりこにしちゃいそうな笑顔を見せる。
あ、よかった。優しそうな子だ。
私は小さくお辞儀をする。
麻里ちゃんは満足そうにふふっと笑った。


