あやかしと四神〜闇を祓って〜

「ッ!?」

ベッドの上の人物を見て、朱雀は体が強張っていくのを感じた。三つ編みに袴姿の少女は、アレス騎士団の団員の一人、イヅナ・クリアウォーターだからだ。

「どうして……」

イヅナと朱雀の住んでいる世界は違う。何故、彼女とまた邂逅したのか。大きな疑問が生まれたものの、神として人を放っておくことはできなかった。

「ねぇ……ねぇ……起きなよ。ねぇ!」

気を失ったイヅナを揺さぶり、朱雀は起こした。目を覚ましたイヅナは驚いた様子だったものの、朱雀の口からは冷たい言葉だけが出て行く。

振り返ることなく、朱雀はイヅナを置いて部屋を出ようとした。