あやかしと四神〜闇を祓って〜

考えるよりも先に、朱雀の体は動いていた。男性に向かって手を伸ばし、彼を思い切り突き飛ばす。朱雀の体は魔法陣の中に入ってしまったものの、男性は魔法陣の外へと出た。

「な、何だ?」

男性は困惑した様子だった。魔法陣の光が強くなる。

「朱雀!!」

青龍、白虎、玄武が朱雀の元へと駆け寄る。四神全員が魔法陣の中へと入った。そしてーーー。

眩い光と共に、四神たちの姿は飲食店から消えた。



朱雀が目を開けると、全く見知らぬ場所だった。青龍たちの姿はない。ベッドと小さなテーブルや椅子が置かれた少し狭い部屋だ。窓があったため、朱雀は外の景色を見る。

「海……?」

霧のかかった海が外には広がっていた。ここは船の中なのだと理解する。

「青龍たちもこの船にいるのかな」

三人を探しに行こうと朱雀がドアの方に向かった直後、紫色の光が部屋を包んだ。朱雀は反射的に振り返る。見ると、ベッドの上に誰かが倒れていた。気を失っている様子だ。