あやかしと四神〜闇を祓って〜

行方不明事件1

午前零時の港には、大勢の人が押しかけていた。否、人ではない。獣のように鋭い牙や爪がある者、口が耳まで裂けた者、体の半分が爛れている者、全員が人ならざる者の姿をしている。

空は星も月も何もなく、ただ闇が広がっている。港から広がる海は霧に覆われ、不気味な雰囲気だった。しかし人ならざる者たちは笑っている。

それを空から浮かんで見下ろす四人がいた。四人の目はギラギラと輝き、その背中には闇と同じ黒の羽がある。茶髪に緑の目をした一人が言った。

「そろそろ始めるぞ」

他の三人も頷く。そして不気味な海に四人の歌声が響き始めた。


闇に彷徨う我らの仲間
行き先は楽園か？それとも地獄か？
さあさあ歌え　飲んで踊れ
我らの夜明けは永遠に来ない
航海を始めよう
楽しい楽しい船旅だ
今宵も楽しい催しを


四人の歌が始まると、人ならざる者たちは歓喜の声を上げた。そして何もなかった港にあちこちから紫の光の粒が集まっていく。