君のとなりで

ダイニングには、トーストの香ばしい匂いと、スクランブルエッグの湯気が漂っていた。
茉里おばさんがコーヒーを入れながら真衣に微笑む。

「ちゃんと眠れた?」

「うん、大丈夫。ありがとう、茉里おばさん」

礼央はすでに席に着いて、静かにトーストをかじっていた。
その目線が一瞬だけ真衣に向けられる。

「……制服、似合ってる」

「えっ……?あ、ありがと」

小さく、でもはっきりと言われて、顔を赤くなったのが分かった。

「兄さん、そういうのストレートに言うからね~」と乃亜が笑う。

「ほら、急がないとバス遅れるよ!」

「うん!」

3人は揃って玄関を出る。少し肌寒い朝の空気が頬を撫でた。