君のとなりで

家に帰ると、礼央がソファで本を読んでいた。真衣の姿を見ると、彼はふと顔を上げた。

「おかえり」

「ただいま……礼央、今日いろいろありがとう」

「……どういたしまして」

「それと……」

真衣は言葉に迷いながらも、勇気を振り絞って口を開いた。

「また、明日も一緒にバス、行ってくれる?」

礼央は少しだけ目を見開いたあと、ほんのわずかに微笑んだ。

「……もちろん」

その微笑みに、真衣の心は少しだけ、溶けていった。