文化祭前日。教室は準備に追われ、熱気に包まれていた。


椅子を並べる音、カーテンをかける手元、色とりどりのポスター。

作業着代わりの体操服姿があちこちにあふれ、テープやハサミの受け渡しが飛び交う。


わたしと吉岡くん、紗英ちゃん、柊くんの4人はカフェの装飾担当として、カウンター周りの装飾とメニュー札の掲示に取り組んでいた。


「ねえ、このフェイクグリーン、もうちょっと右じゃない?」


紗英ちゃんが話しかけてきた。


「うん……こっちのほうがバランスいいかも」

「佐倉さん、センスいいねー。俺、貼るだけ係で良かったわ」


柊くんが冗談交じりに言いながらテープを伸ばしてくる。


「……吉岡くん、このあたりどう思う?」

「悪くないと思う。むしろ、こっちにもう一枚垂らすと締まるかも」

「なるほど。じゃあ、任せた!」