そんなふうに、まわりとは自然に話せる。
だけど──一ノ瀬くんとは、なぜか話せなくなっていた。
話したい。
けれど、接客班の羽柴と楽しそうに打ち合わせをしている彼を見るたびに、足が止まってしまう。
放課後、教室の窓際で羽柴さんがポスターを掲げながら、一ノ瀬くんに聞いた。
「ねえ、一ノ瀬くんって、ああいう飾りとか得意?」
「うーん……まあ、苦手ではない、かな」
「ふーん。じゃあ、これ一緒に貼ってみない? 私、ちょっとセンスに自信あるんだよね」
羽柴さんの声は、軽やかに響く。
誰にでも開かれたその笑顔の裏に、どこか焦りのようなものを感じたのは──気のせいだろうか。
わたしはその光景を見つめながら、作りかけの飾りに集中しようと、紙に視線を落とした。
夜。
わたしはベッドの上で、スマホを手にしていた。
LINEの画面には、一ノ瀬くんとのトーク履歴。
《文化祭、忙しそうだね》
そう打ちかけた文字を、何度も見つめては、指で消す。
送る勇気が出ない。
今の距離感を壊すのが怖い。



