一方、一ノ瀬くんの名前は「接客・企画班」──そして、そのすぐ下に書かれていたのは羽柴さんの名前。
それを見た瞬間、わたしの胸に小さな痛みが走った。
それでも、顔には出さない。
今の自分が立っている場所は、教室の端。
みんなの輪から半歩だけ離れた、静かな場所だ。
放課後、わたしは美術室で使う色紙や飾りつけ用のポスターを吉岡くんと準備していた。
「この色、どうする?」
「……うん、こっちがいいと思う」
吉岡くんは無駄のない動きでカッターを走らせ、器用に切り抜いていく。
その無言の集中に、わたしは少しだけ安心していた。
廊下の向こう、教室では接客班が動き始めていた。
一ノ瀬くんと羽柴さんが、誰かに指示を出しながらメニュー案をまとめている。
「じゃあ、ポスターのデザインも任せていい? 私、文字書くの得意だから」
「助かる」



