君の隣が、いちばん遠い



カフェを出た帰り道。

駅までの道を並んで歩く。


夕方の光が、背中を押すように差していた。


「……また、行こうね」


わたしが、ふと口にした。

一ノ瀬くんが、少し驚いたように目を向ける。


「うん。行こう。また、ふたりで」


その返事が、夕暮れの風とともに、わたしの胸に静かに染みこんでいった。