何もかも順調だったわけじゃない。
わたしは推薦入試に落ちて、何度もくじけそうになった。
遥くんだって、自分の進路や家族とのことで悩んでいた。
でも、そのたびに、支えてくれる誰かがいた。
遥くんがいた。
だから今、こうして大学生活が始まって、離れた場所で新しいスタートを切っても、心は不思議なくらい穏やかだった。
「“一緒にいよう”って、簡単に言えることじゃないよね。距離もあるし、大学も違うし……」
「それでも、ひよりとだったら、大丈夫って思える。信じられるんだよね」
「……ありがとう」
少し涙が出そうになったけれど、笑顔で返した。
窓から春の光が差し込む。
遠くから、風に乗って鳥の鳴き声が聞こえた。
この穏やかな時間が、きっと未来への扉なんだ。
「来年の春も、こうして隣にいられたらいいね」
「いるよ。いるに決まってる。だって、これからも“ふたり”なんだから」



