君の隣が、いちばん遠い



「もうすぐ、ひよりが、大学生かぁ。早いなあ、ほんと」

「うん……」


夕方になり、窓の外が橙色に染まり始めていた。

この部屋で見る最後の夕日かもしれない、と思うと、胸がきゅっとなった。


「さ。そろそろ、リビングおいでって。叔父さんと叔母さん、話があるって」

「……うん、行く」


階段を降りると、夕飯の香ばしい匂いがふわりと漂ってきた。

いつも通りの、優しい匂い。だけど、どこか少し特別に感じられる。


「ひより、座って」


そう言われてリビングのテーブルに座る。

すると、叔母さんが少しだけ目を赤くしながら、にっこり笑った。


「ひより、明日から一人暮らしが始まるけど……何かあったら、すぐ帰ってきていいのよ」

「……うん」

「今まで、家のことも、自分のこともちゃんとやって、本当によく頑張ったね。私たちも、美帆も、ひよりに助けられてばかりだったわ」

「そんな……わたしの方こそ、いっぱい助けてもらって……」