君の隣が、いちばん遠い



その言葉を口にしたとたん、涙がこぼれた。


「教師って、もっと遠い存在だと思ってた。でも、先生がわたしに寄り添ってくれて、怒ってくれて、笑ってくれて……それが、すごく嬉しかったんです」

「……あのとき」


先生はゆっくりとうなずいた。


「“教師になりたい”って、佐倉が初めて言ったときの顔。今でも覚えてるよ。迷いながらも、きちんと自分の言葉で話してた。そのときの佐倉は、もう立派な“大人”だった」


涙をぬぐいながら、わたしは深く深く頭を下げた。


「……わたし、がんばります。先生みたいになれるように」

「期待してるよ。そんでいつか、同じ職員室で会えたら……楽しいだろうな」


その言葉に、胸が熱くなった。




帰り道、遥くんと並んで歩いた。


「ねえ、遥くん。卒業、しちゃったね」

「うん。……なんか、まだ実感ないけど」

「でも、次は大学生だよ。また新しい場所で、新しい時間を作っていくんだね」

「ひよりとだったから、ここまでがんばれた。ありがとう」