君の隣が、いちばん遠い



昇降口で靴を履き替え、久しぶりに通る廊下に、思わず深呼吸する。

教室の扉を開けると、懐かしい匂いがした。

少し騒がしい声、笑い声、涙をこらえるような顔。


そこに紛れて、ひときわ大きく手を振る紗英ちゃんの姿があった。


「ひよりー! 卒業だね!」

「……うん、ほんとに、今日で最後なんだね」


いつもと変わらないように見える教室の景色が、今日は妙にキラキラして見える。

わたしの机、わたしの椅子。


窓際から差し込む光が、懐かしさとともに胸に刺さった。


「はい、柊も来たから全員そろったよ~」


紗英ちゃんの声で振り向くと、柊くんと遥くんが並んで立っていた。

相変わらず無表情だけど、どこか目元がやさしい。


「じゃ、あとで写真撮ろうね。ぜーったい、四人で!」

「うん、撮ろう」