会場に到着すると、名前を確認され、案内された教室へ。
教室の中には、見知らぬ制服の人たち。
どこか張り詰めた空気に飲まれそうになるけれど、大きく深呼吸をして、席に着いた。
椅子に腰を下ろし、視線をまっすぐ黒板に向ける。
机の上には鉛筆と消しゴム、受験票。
何度も確認したものなのに、手のひらが少し汗ばんでいる。
それでも、目を閉じて、心の中で繰り返す。
——大丈夫。ここまでやってきた。
隣の席から小さく椅子のきしむ音がして、目を開けた。
誰かがそっと咳払いをした音が響く。
でも、不思議と、怖くない。
窓の外は、うっすらと陽が差し始めていた。
わたしはペンを持ち、呼吸を整える。
そして、心の中で、静かに想いを重ねた。
“いまのわたしで、全部ぶつけよう。
信じてくれた人のために、自分のために。”
その瞬間、わたしは確かに、わたし自身を信じていた。



