その夜、帰宅してからも、わたしは机に向かった。


参考書の端には、美帆ちゃんがくれた四つ葉のクローバーのしおり。

蛍光ペンで何度も線を引いたページの合間から、一ノ瀬くんとのプリクラが覗いている。


「……がんばろう」


わたしはそう呟いて、ペンを握りしめた。

誰かを想うことで、自分が強くなれるなんて、きっと昔のわたしじゃ想像できなかった。


でも今は、胸を張ってそう言える。


“好き”って、ただ一緒にいたいだけじゃない。

一緒に、歩いていきたいって思える気持ちのことだ。


静かな図書室で、再びシャーペンの音が響いた。

その音は、わたしたちが未来へ向かう、確かな足音のように感じられた——。