冬の朝は、息を吐くだけで白く染まる。

窓の外の景色は変わらない。

けれど、街の空気はどこか凛としていて、心まで引き締まるような気がした。


今年は、初詣に行かない。


そう決めたのは、たぶん十二月の終わりごろだった。


受験生として過ごす最後の冬。

遊びに行く余裕も、気持ちの隙も残さないようにと、わたしたちはお互いにそう決め合ったのだ。


わたしと遥くんは、変わらず日々を重ねている。


だけど、ほんの少し前——塾の最後の日に白石くんから想いを伝えられた。

そのとき、正直に言うと、胸がざわついた。


白石くんのまっすぐな目と言葉に、心が揺れなかったわけじゃない。

でも、それ以上に、あのとき手を差し出してくれた遥くんのぬくもりが、すべてを包んでくれた。


わたしの“好き”は、もうずっと変わらない。