白石くんは、わたしの方をまっすぐに見た。
その瞳に、真剣な光が宿っているのがわかる。
「俺、ずっと佐倉さんのことが好きだった」
一瞬、心臓が止まったみたいに感じた。
鼓動の音が、耳の奥でどくん、どくんと響く。
わたしは何も言えずに、その言葉を胸に受け止める。
「でもさ、最初から知ってたからさ。佐倉さんが、一ノ瀬のこと、すごく大事にしてるって。笑った顔とか、話す声とか、全部」
白石くんは、少し笑って、でも寂しそうだった。
「それが、ちゃんと幸せそうだったからさ。……俺、それでよかったんだ」
わたしの手のひらが、じんわりとあたたかくなる。
さっきまでカイロで温めていたはずなのに、まるで今、その言葉で心があたたまっているようだった。
「ありがとう。……白石くん」
わたしは、少しだけ顔を上げた。



