「せーので開ける?」
「うん。せーのっ」
包み紙を開くと、わたしの手の中にあったのは、白と青のツートーンカラーのマグカップだった。
シンプルだけれど、優しいフォルムで、手にぴったりと収まる。
「大学生になって、家でこれ使ってくれたらいいなって思って。俺の分も同じ色違いのがあるから」
「……うれしい。すごく」
わたしが渡したのは、小さな写真立て。
中には、わたしたちが二人で撮ったプリクラと、去年のクリスマスの写真が入っている。
「これ、こないだプリントしておいたの。今までの思い出が、形に残るかなって」
「……ひよりらしいね」
「そう?」
「うん。大事にする」
少し照れたように、でも優しい声でそう言ってくれた。
わたしは、手に持ったマグカップを見つめながら、小さく言った。
「来年も……再来年も、またその先も。ずっと一緒にクリスマスを過ごしたいな」
「うん。ずっと一緒にいよう」
目が合った瞬間、わたしたちは自然に、そっと笑い合った。
あたたかいこたつ、ゆっくり流れる時間。
派手なことはなにひとつなかったけれど、それでも――
「今日、この日を、忘れたくないな」
「うん。俺も」
思わずつぶやいたその言葉が、わたしたちの静かな記念日を、やさしく包みこんでくれた。



