十二月二十四日、クリスマスイブ。
そして、わたしたちが付き合って、ちょうど二年になる日だった。
二年前のこの日、白い息を吐きながら遥くんと手をつないだ帰り道。
あの瞬間が、ずっと昨日のことのように思い出せるのに、ちゃんと二年という時間が流れていた。
でも今年のクリスマスは、特別なデートもイルミネーションもない。
わたしたちは、朝から遥くんの家のリビングで並んで勉強している。
「よし、俺は次、英語の長文やろうかな。ひよりは?」
「わたしは、数学。応用問題まで解けるようにしておかないと」
こたつに入りながら、お互いのノートと問題集を机に広げ、黙々と鉛筆を走らせる。
部屋の奥にはストーブがぽかぽかと暖かく、テレビの音は消してある。
壁には、一ノ瀬家で毎年飾られるという小さなツリーがあり、赤いリボンが揺れていた。
気づけば、静かな部屋の中に聞こえるのは、紙をめくる音と鉛筆の擦れる音だけだった。
クリスマスにこんなふうに過ごすなんて、去年だったら想像できなかったかもしれない。
少しだけ、寂しさが胸をかすめる。



