その言葉に「うん」と打って送ると、すぐに着信が鳴った。
「……もしもし」
「ひより？」
「うん……」
自分の声が、泣きそうに震えていた。
もう泣かないって決めたのに。
「落ちたことは……わたし、わかってたのかもしれない。面接、うまくいった感じしなかったし、倍率も高かったし……。でも、やっぱり悔しくて……」
涙が、言葉の途中でこぼれた。
静かに、ポタリと、頬を伝って。
「ひより、がんばったよ。俺、知ってるもん」
遥くんの声は、優しかった。
泣いているわたしを責めることも、慰めすぎることもなく、ただ寄り添ってくれる声。
「ここからが本当の勝負だろ？」
その言葉に、また涙があふれた。
「うん……がんばる……」
嗚咽交じりの返事にも、彼は「うん」とだけ返してくれた。
会えたら、きっとぎゅっと抱きしめてくれたかもしれない。
でも今は、その声だけで充分だった。
