部屋に入り、机に座って、深呼吸をひとつ。

ゆっくり、封を開けて、中の紙を引き抜いた。


最初の一行に、すべてが詰まっていた。


《誠に残念ながら……》


そのあとの文字は、もう読まなかった。


ただ、「ああ、だめだったんだ」とだけ思った。


手元の紙を折って、封筒に戻す。

でも、不思議と涙は出なかった。


どこか、冷静だった。

あれほど緊張していたのに。

いざ終わってしまえば、心の中に空洞ができたような感覚だけが残った。



スマホの通知音が響いた。

画面を見ると、紗英ちゃんからのグループLINEだった。


『ねえ!わたしと柊、AOで合格したよー!!』


一瞬、手が止まった。

信じられないくらい、タイミングが重なった。


『わあ!おめでとう!』


と、他の子たちのコメントが並ぶ。