試験が終わっても、まだ終わりじゃない。
この日の本番は、面接だった。
順番が近づくにつれて、心臓の鼓動が加速していく。
手のひらに汗をかき、膝の上で何度もこすった。
練習は何度もした。大丈夫。大丈夫。
でも、「本番」は練習とは違った。
面接室のドアをノックして、扉を開けた瞬間、わたしの世界が静かになった。
「どうぞ、おかけください」
面接官は三人。
そのうちの一人が、やわらかい目でこちらを見てくれたことで、少しだけ呼吸が戻ってきた。
「志望理由を教えてください」
その瞬間、わたしの声はかすれてしまいそうだった。
けれど、もう引き返せない。
「はい。わたしは、国語という教科が好きで、そこから人の気持ちや言葉に興味を持つようになりました。そして、将来は……」
たどたどしくても、自分の言葉で伝えたい。
一度だけつまった。
でも、深呼吸をしてから続きを話した。



