スマホをそっと胸に当てる。

言葉にならない何かが、胸の奥でじんわりと広がっていく。


たった一言で、こんなにも心が救われるなんて。


わたしは、ひとりじゃない。

遠くにいるけれど、わたしのことを見てくれている人がいる。


それだけで、また明日、がんばれる気がした。





深夜、部屋の静けさのなかで、再びペンを取り、ノートの端に言葉を書いた。


《誰かの力になれる人に、なりたい》


その言葉は、どこか拙くて、それでも、わたしの“いま”を正直に表しているように思えた。


推薦入試。高い倍率。

未来がどうなるかなんて、まだわからない。


でも、わたしは逃げない。


誰かのために、そして、自分のために。


進もう。


明日、わたしのすべてをぶつけよう。


ページを閉じ、電気を消した。


夜の闇のなかで、静かに決意だけが光っていた。