「少し固かったかな。でも、言いたいことは伝わってきたよ」
「……ありがとうございます」
「それに、面接って“正しいことを言う場”じゃない。“自分が何を考えてきたか”を相手に届けることが一番大事なんだよ」
わたしはうなずきながらも、どこかうまく気持ちが晴れなかった。
そのまま先生と少し雑談をして、明日の時間を確認して、職員室をあとにする。
教室に戻るとき、窓の外にはすでに夕焼けが差し込んでいた。
その夜。
部屋の明かりを少しだけ落として、机の上に広げた志望理由書を見つめていた。
何十回も書き直して、添削してもらって、それでも「これでいい」と言いきれない自分がいる。
その横には、遥くんとの写真。
文化祭で撮ったプリクラ。
クリスマスの夜、記念日だった日に撮ったツーショット。
わたしがこっそり印刷して、小さなフレームに入れているもの。



